上矢 恭子准教授 Kyoko Kamiya
教員紹介
研究キーワード
火災科学、ニオイ科学、安全工学
研究内容
キャンプファイヤーや野焼きの時には、「きなくさいニオイ」により、何かが燃えていると気づくことがあります。火災時にも在監者がニオイの変化から火災に気づくケースは多くあります。ニオイの変化を捉えて、新しい感知器への応用を考えています。特に、ニオイを火災感知器の指標とした際の誤検知、誤報につながる可能性のある、生活内で発生するニオイ(調理時のニオイや芳香剤等のニオイ)と木材やプラスチックの酸化熱分解時に発生するニオイの差を実験的に明らかにしています。
ニオイは、音階や色のような、基準のニオイ等がないため、人伝えることが難しい感覚です。人はニオイをパターン認識により識別しています。そのため、様々なニオイの測定データをAIで解析することにより、ニオイを分類できる可能性があります。そのための基礎データの取得と、AI解析手法の開発を行っています。
研究から広がる未来
すべての住宅に火災警報器の設置が義務化され、10年以上経過しました。設置義務前に比べると、火災による志望者数は減少したものの、現在は下げ止まりの状況となっており、年間1,400名程度の方が火災により命を落としています。煙の粒子よりもニオイやガス分子は、粒の大きさが小さき、短時間で広く拡散することが考えられます。ニオイやガスによる火災感知器ができれば、避難余裕時間を確保することができ、火災による死者数を減らすことができるのではないかと、考えています。 懐かしいニオイを嗅ぐと、当時のことを思いだす人も多いかと思います。ニオイを数値化することにより、第三者へ伝える手段ができたり、ニオイの再現性ができる可能性があります。このことにより、エンタテイメントや、安全教育(火災と思われるニオイを体験してもらい、避難行動へ移す教育)、リラクゼーション等でのさらなる活用ができるのではないか、と考えています。
WEBオープンキャンパス動画
当研究室のWEBオープンキャンパスの動画が見られます。
研究室の様子
私の研究室では、ニオイに関する研究、火災に関する研究等、様々な研究テーマを持って、学生は日々研究活動を行っています。研究活動は少人数で行うことが多く、日々の実験や実大規模の火災実験等を行う際には、お互いに協力をして作業を進めていく必要があります。そのため、学生間の協力体制ができ、研究室で初めて顔を合わせる学生でも、短時間で仲良く活動をしています。卒業研究は、これまでの学生生活とは異なり、基本的には毎日研究室に登校し、研究活動、仲間と過ごす時間に重点を置いているため、おのずと連帯感が生まれてきているように感じます。
多くの学生は、4年生の卒業と同時に就職するため、研究室での活動と同時に近い将来社会に旅立つための準備段階としており、基本的なルールをしっかりと守り、元気よく、メリハリをつけた生活を心がけて欲しいと思い、日々指導しています。
メッセージ
火災やニオイに関する研究では、機械とも電気とも違うのでは?と思われてしまいますが、機械や電気機器を使用時などには、火災が発生する可能性があります。固体や液体材料の燃焼性や着火性の評価から、実規燃焼実験やシミュレーションも行っています。本学に入学して、一緒に研究をしてみませんか。