板橋 正章教授 Masaaki Itabashi

教員紹介

研究キーワード

衝撃工学,ひずみ速度,高速引張り試験,電炉鋼,ライフサイクルアセスメント(LCA)

研究内容

固体材料は変形速度が早くなると強度が増すことが知られています.この性質を使いこなさないと交通事故のときの被害はもっと大きくなってしまいます.板橋研究室では,通常よりも100万倍も早い速度で材料試験や継手強度試験を行っています.
最近はcar to car recyclingを目指して,くず鉄から再生した自動車用電炉鋼板について研究を進めています.ライフサイクルアセスメントという原料の採取から廃棄までに放出する二酸化炭素や消費エネルギーの総量で環境負荷を評価する手法がありますが,鉄鋼はアルミニウム合金や繊維強化プラスチック(FRP)よりも,環境に優しいと再評価されています.
さらに,くず鉄を原料として再生するわけですから,廃棄物の減量にもつながり,環境だけでなく人間社会にとっても電炉鋼は優しい材料であると言えましょう.

研究から広がる未来

冬季に路面凍結が起きてしまい,ブレーキをかけても車両の制動力が得られないことがあります.自動運転のレベル5(人間が運転に一切関わることなく,目的地に安全に到着できるレベル)が実現したとしても,路面凍結にはなかなか対応できないでしょう.残念ながら,交通事故を皆無にすることはまだまだ難しい状況です.耐衝突安全性は今後も外すことのできない重要な設計条件です. 板橋研究室ではそのような設計条件に欠かせない鋼板の高ひずみ速度における強度や伸びを測定しています.実験方法は学生時代に私を指導してくれた河田幸三先生らが開発したワンバー法と呼ばれるもので,国際規格ISO26203-1:2018でも紹介されている方法です. みなさんの気が付かないところで,必ずお役に立っているはずです.気が付いてもらえないのは残念ですが,さりげない安全・安心ほどカッコイイと思っています.

WEBオープンキャンパス動画

当研究室のWEBオープンキャンパスの動画が見られます。

研究室の様子

研究室ではいろいろなことが起きます.就職活動,実験データの整理等々がうまくいかなくてもみんなで解決していきます.3年生までの成績順位なんて進学するときに一瞬意識されるだけで,あとは気にならないものです.中には,単位の取りこぼしで悩んでいた学生が,周りの学生達からその科目の要点を教わって「マジか? 目からウロコ!!」と叫ぶのもよく見かけます.
大学院に進学すれば,より深く研究を進めることになります.学会のイベントに連れて行くと,比較的近い研究テーマを抱えたよその大学の院生達といつの間にかなかよくなって情報交換しています.よその大学の先生達からも刺激を受けて,自分の研究成果に新しいものを追加したり,他人に理解してもらう努力に拍車がかかります.
最後に,コロナ感染対策でマスクをしながらも,研究活動を休むわけにはいきません.リモートでゼミを行うことも慣れてしまえば苦ではありませんが,対面での指導に勝るものはありません.

メッセージ

日本という国が豊かになるためには,魅力ある工業製品やサービスを作るしかありません.最近はこのやり方がうまく行っていません.何かを変えるか,何かを刺激するか,何かに投資することが必要です.しかしながら,世間一般にはこのことがよく理解されていません.私は学生達や企業と共にこの国を立て直したいと思っています.

リンク

工学部機械電気工学科

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