江頭 雅之助教 Egashira Masayuki
教員紹介
研究キーワード
静電噴霧法 エレクトロスピニング 高電圧工学 有機薄膜太陽電池 光触媒 燃料電池
研究内容
細管を通る液体に高電圧を印加すると液体はメニスカスという形状からTaylorコーンと呼ばれる円錐に変化します。Taylorコーンの先端からnm〜µmオーダーの帯電液滴が放出され、これを静電噴霧現象と呼びます。静電噴霧現象の特徴として印加電圧によって図1の左のようなコーンジェットモードと呼ばれるモードや右図のようなマルチジェットモードと呼ばれる噴霧形態に変化します。さらに静電噴霧法は印加電圧や粘度、導電率、表面張力といった液体のパラメータによって噴霧する帯電液滴の径を制御することが可能になっています。
加えて、帯電液滴は電界に沿って噴霧されるため、特定の部分にのみ液滴を付着することが可能になります。また粘性の高い液体を用いると図2のようにTaylorコーンが一本のファイバーになり蛇行します。静電噴霧法やエレクトロスピニングを用いることで薄膜を作製することが出来ます。
私の研究ではこの技術を生かして有機薄膜太陽電池や光触媒といった半導体製品や燃料電池の電極作製、透明電極の作製に関する研究を行っています。
研究から広がる未来
静電噴霧法やエレクトロスピニングを使い帯電液滴の放出やファイバーの創生、フィルムの作製をメインに研究を進めて行きます。静電噴霧法はエタノールなど導電性が高く揮発性の高い液体に溶かす、またはコロイド粒子にすることが出来れば、どんなものでも帯電液滴として放出することができ均一な成膜を行うことが出来ます。この技術を使い有機薄膜太陽電池や燃料電池といったデバイスだけでなく他の機能性材料を塗布する研究にも挑戦して行きたいと思っております。また静電噴霧法は電界を制御することで帯電液滴を付着する場所を選択的に作り出すことが出来ます。例えばテフロンなどの絶縁体に微細なパターンを施すことで液滴はテフロンを避けて基板の方に向かって行くので帯電液滴の挙動を制御することが出来ます。諏訪地域の微細加工技術と組み合わせることで、塗布する場所、塗布しない場所を作り出すことが出来、環境に負担の少ない新しいデバイス作り技術を作り出すことが可能になると考えられます。
メッセージ
年々、異分野融合の流れに伴いものづくりは機械や電気、片方の知識だけで作ることが難しくなっています。そして電気電子工学と機械工学は非常に密接に繋がっている分野があり、それは燃料電池やプラズマ, 電気自動車, ロボットなど、これから主流になってくる技術になり、これらを研究開発するには機械と電気の両方の知識が必要になっていきます。
受験生の皆様が本学で勉強をすることで機械と電気という異なる分野を融合させた新しい技術を作り出せる技術者になれるよう教育させて頂きます。