桜井 雄基 准教授 Yuki Sakurai

教員紹介

研究キーワード

宇宙素粒子物理学, 宇宙マイクロ波背景放射 (CMB), インフレーション, ミリ波, 低温工学, 超伝導磁気軸受

研究内容

「宇宙はどのように生まれたのか?宇宙創生を含む万物を説明する究極的な物理法則は存在するのか?」
桜井研究室では、これらの根源的な問いに答えるべく、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)観測実験を推進しています。CMBの精密偏光観測から、宇宙のインフレーション、暗黒物質、暗黒エネルギー、ニュートリノ、大規模構造など、宇宙・素粒子物理学にとって非常にリッチな情報が得られます。
 CMBは、ビッグバンの残光であり宇宙最古の光です。宇宙膨張によって波長は引き伸ばされ、現在はサブミリメートルの波長の微弱な電磁波として観測されます。その偏光強度はμK (0.000001℃) 以下であるため、地上・気球・衛星に搭載した超高精度の宇宙望遠鏡で観測します。
 桜井研究室では、Simons Observatory地上実験とLiteBIRD衛星計画 という2つの国際共同実験プロジェクトに参加し、最先端のCMB観測を行っています。望遠鏡に搭載する光学素子、偏光板回転装置、データ解析等を行っています。また、産業応用も視野に入れた低温デバイスの開発も行っています。

研究から広がる未来

宇宙や素粒子における疑問は単なる学問ではなく、人類共通の知的好奇心を揺さぶる謎です。科学や工学技術に対するワクワク感を高める観測結果をお届けし、かしこまって言えば人類の知の向上に貢献したいと思います。また、最先端の科学技術によって、初期宇宙は想像するものから観測するものに移り変わりました。宇宙望遠鏡や観測装置の開発で得た先端技術は、通信・エネルギー・医療分野などの様々な産業にも応用可能です。さらに宇宙からの観測データは、地球や宇宙環境の保護や持続可能な開発にも貢献します。電子の発見から100年足らずで、電化製品に囲まれた現代の便利な生活環境が築かれたように、初期宇宙観測から社会全体の発展や持続可能な未来の実現にも繋がるはずです。

研究室の様子

桜井研究室は、2024年度に発足したばかりの新しい研究室です。「新しい装置を開発し、計測し、データ解析することで新物理を探索する」という物理学実験の基本理念の基に、卒業研究生やゼミ研究生合わせて20名ほどで楽しみながら自由に研究活動を行っています。
 極低温装置を用いた低温デバイスや超伝導磁気軸受の開発、ミリ波測定装置を用いた光学素子開発、データ解析パイプラインの構築、系統誤差の解析などの研究課題があり、各学生が個別のテーマを持ち研究に取り組んでいます。学生にはそれぞれ専用スペースがあり、実験室では極低温装置とミリ波測定装置が鋭意構築中です。
 研究室では毎週定例ミーティングを開催し、進捗報告による知識共有やプレゼンテーション能力の習得を行っています。また、宇宙やものづくりの教科書の読み合わせによる活発な議論を行うことで、専門的知識を深めていきます。同じ実験に参加する他大学、他研究室との共同研究も行っており、実験現地での作業にも積極的に参加していきます。

メッセージ

宇宙への応用を目指して、微細加工・セラミックス・GHz帯用素材・磁性体・超電導などをキーワードに共同研究していただける企業・研究者の方はぜひご連絡ください。
大学で宇宙や素粒子をやってみたい好奇心旺盛で熱意のある受験生や学生の方を歓迎します。工学の技術を駆使して、壮大な宇宙の謎に一緒に挑んでみませんか?

リンク

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工学部機械電気工学科

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