久保 吉人准教授 Yoshito Kubo
教員紹介
研究キーワード
新製品開発 デザインマネジメント 新市場創造 経営戦略 イノベーション・マネジメント 製品開発組織
研究内容
研究の主たる興味は、新製品開発組織における工業デザイナーとエンジニアとの関係性におけるデザインマネジメントです。特に、成熟分野での新たな価値づくりによるリ・ポジショニングと、その価値づくり途上におけるマーケティング連携にも関心があります。イノベーションを生み出すための構想・企画は誰が担うべきなのか、どのようなプロセスで実践すべきなのか、そしてその組織はどうあるべきなのか、などが主な問題意識です。そのため、発見事実に基づく質的分析が主たる研究手法になっています。
研究から広がる未来
狭義のイノベーションである新製品開発は、市場での成功確率が概ね16~27%と示されています(MIT Sloan経営大学院での研究結果)。また、新製品開発は、構想・企画から始まり、製品化・市場投入までたどり着かなかった事象までを含めると、その成功確率は1割に満たないとの見解もあります。つまり、確率論的には、10回企画して1回ヒットすれば上出来なのです。これまで、イノベーションを効率的に実現できるマネジメントプロセス提案では、ヒット(市場での成功)につながる構想・企画は、誰がどのように行うのが効果的なのか、という議論について統一的な見解がありません。加えて、開発技術者とマーケティング担当者、さらに工業デザイナーらが、どのように市場を見ているのか、その違いが及ぼす影響も大きいものがあります。私の研究テーマである「デザインマネジメント」は、日本語直訳では設計管理となりますが、構想・企画段階での「設計」とは何をなすべきなのかを明らかにして、イノベーションの成功確率を高めることに役立ちたいと考えています。
メッセージ
工学部の学生向けに「経営戦略と価値づくり経営」、「経営組織」、「経営分析」等を、また、工学・マネジメント研究科では、「イノベーション・マネジメント特論」を担当しています。日本の電機メーカーで、30年に渡り、新事業創出に関わる研究開発、国家(経産省)プロジェクト、及び研究管理・事業企画・経営戦略のマネジメントの業務に携わってまいりました。さらに、社会人大学院生時代から、経営学分野におけるデザインマネジメント研究に取り組み、近年は、信州地域発イノベーションの探索をおこなっています。これまでの実務経験とデザインマネジメント分野での研究とを活かして、エンジニアを志す皆さんに技術経営学視点での学びをサポートします。